『そんなぁ、今日学校これないの?』
「まあ、熱あるし」
さすがに38度もあればきついものがある。
目覚ましが鳴っていつもどおり目を覚ませば、なかなかに起きるのが辛かった。
体が寒い。頭がだるい。
覚えのある症状にまさか、と思いつつ居間へ這いずるように向かって体温計を引っ張り出せば、久しぶりの高熱をたたき出していた。
『何度?』
「38,4度」
『うわあ高いね!身体けっこう汗かいてるでしょ』
ぼうっとした頭で、そう言われれば寝巻きが湿っているな、と思った。
『どうせご飯も薬も飲まないで、昨日寝たときのまんまなんだ』
「・・・・・・うるさい」
普段はボケているくせこういうときには鋭い。
勉強にも活かせればいいのに。
「それよりなんで電話かけてきたんだ」
正直こちらの状況をすべてお見通しのような、いつもとは逆の今の状態に戸惑っていた。
だからそう適当に返したのだが、墓穴を掘ったと後で後悔した。
冒頭の残念そうな声を聞いたところ、どうせ宿題見せて、とかそんなところだろうとなんとなく想像がつくのだ。
『えっ?あー・・・。
・・・・学校行ったら居なかったから。
どうしたのかなぁと思ってたら、先生が休みですーっていうじゃないですか。
アナタに、その五限のことでちょーっと期待してたところがあったようななかったような・・・だから、えーっと』
「・・・・・」
ほら。
「今日は休むから行けない。もう、切るぞ」
『ええ!?あっ、ちょ、まっ・・・』
耳に残る慌てた声の余韻を感じながら、人には言い難い気持ちにふたをしようとした。
いつもならゆっくりと昼飯を食べてるだろう時間を削って電話してきたと思えば。
少し期待してしまった。
あのときの自分の感情を返してほしい。
「じゃあな」
『―――っ、今日家に行くからっ!!待ってるんだよ!バイバイ!』
「!」
――ツーツー
・・・・本当に、馬鹿。
